年を取ると涙腺がゆるくなるというが、本当だ。
この頃少しの事で感動して涙が出る。
たとえば今日、通りかかった道で道路工事をしていたのだが
渋滞する車の列を前に、自転車のお婆さんが道路を渡れずにまごついていた。
それを見つけた交通整理の警備員が、お婆さんのところまで走り寄り
お婆さんの目線までかがんでひと言ふた言話すと
お婆さんのために道を空けるよう、渋滞の車の列に指示を出した。
たったそれだけのことなのだが、私はそれでも涙がこぼれた。
警備員にしてみれば、普通に「仕事」をしただけなのかもしれない。
けれど、立ち往生しているお婆さんのところまで走り寄る。
そして、お婆さんの目線まで身をかがめて話す。
ここに、その警備員の人柄や思いやりが滲み出ているようで
私は感情を揺さぶられたのだ。
年を取ると、何事にも動じなくなり
感性も鈍くなるものと誤解していた。
だが、年を取るほどに豊かになっていくのが人間なのだ。